ワコーエコペイント開発ストーリー

環境にやさしい船舶塗料・添加剤を開発した野上英明氏。
世界5か国の特許。国土交通省にも採用された、革新的な塗料の開発ストーリーをご紹介します。

ワコーエコペイントは塗料と添加剤のセットで使用する塗料です。 他の船底塗料と絶対的に違うのが、セラミックス添加剤による防汚システムです。 船舶塗装の世界に革命を起こしたともいえる、このセラミックス添加船底塗料「ワコーエコペイント」や「eco Paint」…。 どのような経緯でセラミックス添加剤が生まれたのかご紹介します。

小料理屋の「いけす」がヒント?セラミックス添加剤の誕生

野上氏は船底塗料用にセラミックス添加剤の研究開発をする以前より、 セラミックスを使った様々な研究をしていました。 その時の研究資料に小さなセラミックスのプレートがあったそうです。 そのプレートを野上氏の遊び心もあり、行きつけの 小料理屋の「いけす」の中に入れてみたそうです。 その時は何か変化があろうとは思っていなかったそうです。

数日後、その小料理屋を訪れた時にイケスの中をのぞいてみると、 イケスの中の貝がプレートを沈めた場所から1番遠い場所に 固まっていたそうです。偶然かと思いプレートを取り出し、 貝がいる場所の真ん中にプレートを沈めてみました。 すると貝がプレートを嫌がるように移動し始めたのです。 野上氏はセラミックスには貝の嫌がる何かがあると確信し、研究を始めました。 その結果生まれたのが、船底塗料用のセラミックス添加剤です。

より環境にやさしい塗料を求めて セイブマリンと野上氏が共同開発へ

船底塗料用の添加剤を開発した野上氏は自身で会社を立ち上げ、販売をしていました。 当時は添加剤のみの販売で、添加する塗料は購入された方が用意したものということでした。 セイブマリンはその当時その添加剤の代理店をしていました。

弊社でも所有艇に塗装する時に添加剤を入れ、効果があることも知っていました。さらに、セイブマリンでは不溶解タイプの塗料に添加してみたり、自己研磨タイプの加水分解型、水和分解型と様々なタイプの塗料に添加してテストを行ないました。

そういった様々なテストの結果、現在主流の海水中に塗料が溶け出す加水分解型塗料に添加するよりも、塗料の溶け出る量の少ない水和分解型塗料に添加すれば、海洋環境にも優しい新しい塗料ができるのではと考えました。

丁度その頃、国土交通省より加水分解型塗料ではなく、海洋へ流出の少ない塗料で防汚効果のあるものが出来ないかという塗料メーカーへの投げかけもあったことから、セイブマリンは野上氏へコンタクトを取りました。

そして環境への配慮といった点で野上氏にも賛同をいただき、野上氏とともにセイブマリンは水和分解型(低溶解)の塗料を開発し、添加剤とセットにした商品を発売しました。

防汚効果の実験テストでも加水分解型塗料のように海水へよく溶け出す塗料だと添加したセラミックスの添加剤も一緒に溶け出すので、添加せずに塗装した時よりは防汚効果はあるのですが、現在のワコーエコペイントよりは効果が出なかったのです。

また、不溶解型塗料だと塗料が溶けないので、環境には1番優しいのですが、 塗料の防汚効果が弱く、セラミックス添加剤の防汚力だけでは付着が防げませんでした。 そして「ワコーエコペイント(溶出抑制型)」が誕生しました。

「ワコーエコペイント」は、環境に優しい塗料ということで、2003年より国土交通省の下関事務所管理の船舶への採用をしていただいています。

現在は野上氏とセイブマリンは、環境への配慮といった観点から、トラックをメインとし、車輌・船舶向けに燃料低減装置の開発をしております。

そして、野上氏と私たちセイブマリンの挑戦はこれからも続きます・・・

開発者 野上英明氏経歴

昭和63年 液体燃料改質剤の試作開発研究を開始。
平成3年9月 久留米工業大学渡邉研究室で「委託研究照射燃料による内燃機関の性能改善」を開始し、主に燃料向上効果を調査。
平成3年11月 久留米・鳥栖テクノポリスの中核の久留米リサーチ・パーク内の研究開発型企業育成事務所へ入居し、同オープン・ラボ、久留米工業大学渡邉研究室及び福岡県工業技術センターの支援により、基礎研究と技術開発に着手し、主に改質による燃料の物性試験を開始。
平成4年4月 財団法人久留米・鳥栖地域技術復興センターの先端技術開発助成金の交付を受け「燃料改質セラミック触媒の開発」をテーマとして久留米工業大学渡邉研究室と共同研究を開始し、主に実用化燃費テストと排気ガス特性について研究。
平成4年7月 社団法人自動車技術会・社団法人日本機械学会他共催「第10回内燃機関合同シンポジウム」(於:パシフィコ横浜)にて「セラミックの放射燃料による内燃機関の性能改質」講演・発表。
平成4年10月 社団法人自動車技術秋季大会(於:京都)にて「セラミックスの放射燃料による内燃機関の燃費低減」講演・発表。
平成5年3月 医薬品総合商社の㈱スズケンが全社の営業車両(3.143台)に採用。
平成5年5月 久留米・鳥栖市主催93年久留米・鳥栖テクノ。フェアにて商品発表。
平成5年11月 財団法人九州産業技術センター主催先端技術フェア93in九州において商品発表。
日刊工業新聞社主催'オートテック93'東京国際見本市会場にて久留米・鳥栖テクノポリス企業開発の新技術製品として展示。
平成6年12月 中国・交通部の燃費・排気ガス試験において国内外の製品で初めて省エネ基準をクリア。東京都トラック協会名誉会長・中央運送(株)の営業車両に採用。
平成7年10月 財団法人九州産業技術センター主催'先端技術フェア95in九州'にて展示。
平成8年12月 船底塗料に関する研究開発に着手。
平成9年2月 船底防汚塗料添加剤試験開始。
平成10年11月 防汚塗料添加剤完成。
平成11年6月 (日本国)
特許申請(防汚塗料添加剤)
平成12年3月~
平成13年9月
海上保安庁灯台部
(東京湾川崎浮標航路にて試験)
平成12年5月~
平成13年10月
運輸施設整備事業団
浸漬試験(三重県鳥羽湾)
平成12年10月~
平成13年8月
第3管区海上保安本部船舶課の指導で巡視船「いず」で試験。
平成13年2月~
平成14年3月
運輸施設整備事業団 研究調査委員会試験(長崎湾旅客船)
平成13年11月 天然資源の開発利用に関する日米会議 ハワイにて講演発表。
平成15年8月 船底塗料防汚剤 特許許可(第3463240号)
米国特許(第6001157)韓国特許(第364927号)オーストリア特許(第266704T)
ヨーロッパ特許(第1016695)ドイツ特許(69917199D)
平成15年9月
平成16年10月~
防汚期間検証試験(ヤンマー造船所(株))大分別府湾
平成19年2月~ 再度、燃料低減器の開発を手懸けるもコンピューター制御装置などの普及で効果は低く、静電気除去及び吸収による燃料低減装置開発に取り組み、現在に至る。

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